読書。

プラトン 哲学者とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)

プラトン 哲学者とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)

メモ

p69 私たちがいきる世界において、正しさという事態は、あくまで特定の時や観点に制約されたあり方である。
   
p70 私達自身が日頃囚われてい生きているあらゆる視点を振り捨てたときに、はじめて現実をみることが可能になる。現実の根拠は、特定の視点を超えた絶対の視点、見ることを超えた見ることであり、それこそがプラトンの現実把握であった。

p71 プラトン主義と呼ばれる、現実世界からイデアという別の地平を目指す彼岸主義は、この世界からの逃避などを意味しているのではないかという批判があるかもしれない。それに対して、現世界において、ある事ない事ということは常にゆれ動いており、それらを正しく認識するには、絶対的な不動のものを見つめることへ向かう逆転がなければならなく、それをプラトンが示したと著者は指摘する。

p96 ソクラテスが一人ひとりと向きあって加える吟味は、相手の考えを論破し思い込みを取り除いていく。それは、内なるちの可能性を触発し、学びを根源的に可能にする。ソクラテスと対話相手は、まさにアポリアに直面することで、ともに善き性への探求を始める。
ソクラテスの教育は、知識の多寡ではなく、不知と向きあう自己の在り方に向けられている。